行政指導と調査

手続き
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行政指導と調査

2012(平成24)年9月に国税庁は、「調査手続きの実施にあたっての基本的な考え方等について」とういう事務運営方針を決めました。

2013(平成25)年1月1日以降は、これでやりますよとしてます。

税務署から納税者になんらのアプローチがあるとき、「行政指導」と「調査」があるから、このアプローチはどっちかを明示します。

調査のときは、こういうルールで税務署はやると決めた。

ということです。

行政指導

行政指導になるものには、簡易な事後処理があります。

所得税・消費税

3月に確定申告したあとに、3月16日以降、税務署からお手紙が来ることがあります。

①添付する書類が足りなかった

住宅借入金等特別控除を受けるための書類に不備があった

寄付金控除証明書に不足があった

給与や年金の源泉徴収票が添付漏れだった

②給与や年金の所得計算に誤りがあった

③税額計算に誤りがあった

見直し確認

お手紙の理由のところに簡記してあり、見直してくださいとあります。

見直した結果、○月○日までに修正申告してください。

これは、行政指導です。と書いてあります。

理由はあまり細かく書いてないことが多いので、分からないときは、担当者に電話して説明を受けることになります。

細かく理由を書かないのは、「納税者が自ら進んで」修正申告書を提出したことにするためです。細かく修正申告が必要なことを指摘して修正申告書を提出して下さいとなると税務署の指摘に従って提出された修正申告書であることになりかねません。

納得したら、修正申告すると伝えてください。税務署の人が修正申告書を作成して郵送してくれるので、自書押印して送り返します。

源泉所得税の未納

源泉所得税の未納も最初のアプローチは「行政指導」から入ります。

「未納になってますよ。納付を忘れてませんか?」という問い合わせになります。

ここで速やかに納付された場合は「自主納付」→不納付加算税が5%

納付できないと「調査」に移行して「告知」になります。→不納付加算税が10%

なぜ行政指導なのか

これは、修正申告を提出していただいた結果として、加算税賦課の問題があるからです。

国税通則法で、5万円以上の本税の追徴がある修正申告には、10%5000円以上の過少申告加算税が掛かります。

しかし、確定申告をして単に税額計算を間違えてしまったら、加算税が掛かるのでは、納税者からの理解が得難い。

特に、還付申告で税額計算に間違いがあるとほぼ100%還付しません。還付保留したまま、修正申告書を提出してもらい、修正申告書に記載された還付税額で還付する手続きとなります。このような場合にまで、加算税を掛けてしまうと手取り額が減るわけですから、苦情になります。

加算税

税務署にしても、事後処理を効率的に済ませて、調査事務に力を入れたいところです。

事後処理ですんなり提出された修正申告書は、「納税者が進んで自ら提出した」という扱いをして、「加算税をかけない」ことにします。

そのためには、修正申告書を調査で提出してもらったことには出来ないので、「行政指導」で出してもらったという仕組みにします。

延滞税

自主的な修正申告でも、延滞税はかかります。

ただし、還付申告で当初申告した還付金が留保されている場合で、還付金が少なくなる修正申告の場合は、延滞税はかかりません。むしろ留保していた金額には還付加算金がつくので、もしかするとおまけがついて還付されるかも知れません。

調査

事後処理・行政指導に従わない

これは、仕方がないので、調査になります。

いわゆる「調査宣言」があります。

調査に移行してから「修正申告書」を提出したり、「更正処分」を受けると「加算税賦課」になります。

実地調査

事前通知

担当者から、電話が掛かってきて、「実地調査」に伺いたいと言われる。

関与税理士がいて、税務代理権限証書に、調査連絡を委任することに記入があると、税理士宛に事前通知がある。

事前通知の内容

調査対象者の住所と氏名

実地調査であること

目的:申告した所得金額の確認のため

税目:所得税および復興特別所得税、消費税および地方消費税

対象年分:平成30年分や自平成30年1月1日至平成30年12月31日など通常は3年間

検査対象となるもの:総勘定元帳、請求書、領収証、銀行通帳など

非違が疑われるときは、遡求して調査があること

事前通知をしない

現金商売や風俗事案、多額な脱漏を見込まれる事案などは、幹部の決裁を受けて、事前通知を行わない実地調査を行う。この際に面接した調査対象者に「調査を行うこと」「調査の目的」「調査対象税目」「対象年分」「調査対象となる帳簿類その他の物件」「調査対象者の氏名住所居所」「調査担当者の氏名所属官署」を通知することなっている。

調査時における手続き

身分証明書と質問検査証を持ってきて提示をする。

職員名刺で調査は出来ません。

質問検査証には、当該職員が調査できる税目が記載されています。

帳簿書類の留め置きを受けることがあるが、「預り証」と交換になる。

ある程度の期間が経過したら、返してもらえる。

自分のところに不備があって正確な取引金額を確認するために取引先に「反面調査」されることがある。

調査終了の際の手続き

調査結果の説明を受ける。

納得すると修正申告書提出の勧奨をされる。

修正申告書を提出しないと更正処分になる。

更正処分が修正申告より重くなることはないことになっている。

修正申告でも更正処分でも加算税は賦課される。

更正処分には「理由附記」がされる。

更正処分に納得がいかない場合は、不服申し立てできる。

まとめ

確定申告したあとに税務署からくる「見直し確認」や「添付書類もれ」などは行政指導ですと書いてあるので、不明な点は担当者に電話などで説明を求め、納得したらさっさと修正申告に応じれば、加算税はかからない。

調査の場合は、関与税理士がいて添付した税務代理権限証書に記入がある場合は、税理士に、それ以外のときは、本人に、調査の事前通知がある。

事前通知で税目や調査対象年分、担当者、用意すべき書類等を知らされる。

具体的な調査理由は言わないことになっている。

調査日時や場所は調整してもらえる。

仕事や家庭事情での日時や場所の変更は相談して再調整できる。

調査結果の説明を受けて納得したら、修正申告書の提出を勧奨される。

修正申告書を提出しないと更正処分を受ける。

更正処分に納得できないときは、不服申し立てができる。

参考URL

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)